研究の位置付け
本研究は、内閣府の「ムーンショット型研究開発制度」のムーンショット目標6「2050年までに、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現」のプロジェクトの1つに位置づけられ、目標達成に向けて、様々な研究組織と協力して研究を進めています。
VISION
誤り耐性型汎用量子コンピュータに向けた大規模化の課題
現代のコンピュータがモジュールをネットワーク化して大規模化するように、量子コンピュータの大規模化にもネットワーク化が必要です。まだまだ開発途上の量子のネットワーク化技術に挑戦して、大規模化を実現します。
量子コンピュータ時代のサイバースペースの可能性
量子コンピュータのネットワークでは、量子のサイバースペースが可能になるはずです。この量子サイバースペースでは、量子コンピュータにも負けないセキュリティを実現したり、高度な計算能力や精密計測能力を提供するだけでなく、想像も出来ない応用を生み出す可能性を秘めています。この可能性の発掘にも挑戦します。
研究開発テーマ
研究開発テーマ1
原子ネットワーク型技術
この課題では、周期律表にあるような自然に存在する原子を量子ビットとして用いて構成した原子量子コンピュータをネットワーク接続するための量子インターフェースを開発します。また、光ルーティング技術等を開発して、様々な量子コンピュータの大規模化を目指します。
この課題では、量子コンピュータをネットワーク接続するための要素技術として、多重化された超伝導ナノワイア光子検出器(SNSPD)システムの技術開発に取り組みます。開発した光子検出システムはプロジェクト内、さらには他プロジェクトとも連携して活用します。
この課題では、量子コンピュータをネットワーク接続するための要素技術として、光子検出器の高性能化に向けた技術開発に取り組みます。現状の超伝導ナノワイア光子検出器(SNSPD)の性能を超えた高効率化および低暗計数化等を追求します。
研究開発テーマ2
光子ネットワーク型技術
この課題では、高いコヒーレンスをもち、室温においても量子性を失わない光子量子ビットの量子コンピュータの実現を目指し、ナノファイバー共振器QED技術に基づく光子ネットワーク技術を開発します。特に光子量子ビット生成技術および光子クラスター状態生成技術を追求します。
研究開発テーマ3
半導体ネットワーク型技術
この課題では、半導体量子ドット中の電子や正孔の持つスピンを量子ビットとした半導体量子コンピュータの大規模化を目指したネットワーク接続の要素技術を開発します。そのために、光子とシリコン量子ビットの量子インターフェース技術とシリコン量子ビット間結合技術の研究開発に取り組みます。
研究開発テーマ4
超伝導ネットワーク型技術
この課題では、極低温においてマイクロ波周波数で動作する超伝導量子ビットによる量子コンピュータの大規模化を目指したネットワーク接続の要素技術を開発します。そのために、超伝導量子ビットからのマイクロ波を光子に変換するための量子インターフェース(トランスデューサー)の研究開発に取り組みます。